Alcedo Atthis Architect ・・ works-1works-2works-3DetailProfileConceptofficePassivNewsContact・・ Atelier

建築設計事例:宮光園白蔵保存修復工事
山梨県甲州市勝沼に残る、日本に於けるワイン醸造の黎明期醸造施設の一つに当たる「宮光園」(明治27年頃〜)の白蔵保存修復事例です。
白蔵の創建は大正10年といわれています。2階建ての土蔵には自然石積みの地下室があり、白ワインを貯蔵したことから「白蔵」の名称で呼ばれています。改修工事に先立って行われた調査で発見された映画フィルムには建物が利用される様子が残されています。そこでは大勢の人足がワイン樽を担ぎ、次々と地下に運び込む姿を見ることができます。

今回の工事では修復の他、資料展示・研修施設として一般公開するためにバリアーフリー対応・避難設備・空調設備などが設置されました。地上の土蔵部分に使われた柱・梁・床材・建具などは可能な限り再使用していますが、耐震性能を確保するために木製の方丈や鉄筋製の水平ブレースを新たに付加しました。
また、地下室に採用された石積みの壁面も地震時の変形による崩落を防ぐために鉄骨フレームを挿入して補強しています。
なお、修復計画にあたっては「ミニマムインターベーション」「リバーシビリティ―」といった歴的建造物修復の原則に従い、これらの補強部材は最小限とし、必要が生じた際には撤去可能な計画となっています。

南面外観
上:南面外観。建物左手のスロープはバリアーフリー対策として設置。将来不要となった際には土蔵本体を傷つけずに撤去可能な設計となっている。大戸手前のウッドデッキには次期工事で庇を設置する。

南面外観 南面外観
上:南面外観。正面大戸は創建後の改修による。

北面外観 南面外観
上左:北面外観。左手前の石積みは部材保存されている東三番蔵の基礎。
上右:南面外観。

内部北側を見る
上:内部北側を見る。床板は様々な方向に張ってあった。解体時に記録を取り修理前と同じ方向に再取り付けしている。

内観。北端から南側を見る 内観南側
上左:内観。北端から南側を見る。右手階段は一般見学者のために新たに設置したもの。
上右:内観南側。床板は創建時の床板を再使用。2階床梁の下段と方丈は補強用に今回付け加えたもの。

内観北側 階段の下の吹抜け
上左:内観北側。正面の白い壁の向こう側に厨房・多目的トイレの部屋を設けている。
上右:地下のワイン貯蔵庫を見下ろすために階段の下に吹抜けを設けた。

石壁の地下醸造室 ワイン樽の並ぶ地下醸造室
上左:石壁の地下醸造室。
上右:ワイン樽の並ぶ地下醸造室。修復された柱、天井の水平ブレースの様子。

地下醸造室の石壁
上:地下醸造室の石壁。地下の石積みは「切石積み」「自然石」の二種類が混じる。切石部分はかつてのワイン発酵槽だったのではないかとのこと。石に残る穴は発酵槽の間仕切り壁の痕跡と思われる。

2階部分北面
上:2階部分北面。手摺の中段笠木は梁として構造上の補強を兼ねている。

2階部分
上:2階部分。土蔵の2階の天井高を抑えるために、以前の梁は頭をぶつけるくらい低い位置に掛っていた。今回は小屋梁のさらに下に補強梁と方丈を設けている。

補強フレームの詳細
上:補強梁・補強柱と挟み方丈の組み合わせで造られる補強フレームの詳細。

2階、手摺方向を見る
上:2階、手摺方向を見る。

内部から見たエントランス 内観
上左:地下室から見たエントランス
上右:内観。