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コラム-4「陽だまりの暖かさから」

縁側の陽だまりの暖かさは誰でもご承知の通り。また、海風・陸風の現象で知られるように熱容量の大きな素材は熱しにくく冷めにくい事は皆さんご承知の通りです。

パッシブソーラーハウスの原理はこの2つを応用し、手に入れた熱を逃がさないことにあるといってよいでしょう。
南面の開口部から冬の日差しを取り入れ、部屋を暖めることはごく普通に行われていた方法ですが、昔の建物は断熱性能も機密性能も低かったので、せっかく取入れた熱も逃げてしまいました。 高性能な断熱材やサッシ、ペアガラスやLow-Eガラスなどが普及してきたことでこれらの問題を解決できるようになってきました。

私たちの住む山梨県は時々ドカ雪が降りますが基本的に降雪量は少ない地域です。太平洋岸気候に近いので、晴天日が多く長時間の日照時間を確保できます。山から吹き下りる風は冷たいのですが、風さえ除くことが出来れば真冬でも陽だまりは充分に暖かい所です。
「この陽だまりの暖かさを利用出来れば、暖房費用が節約できる」と単純に思ったのが最初の動機です。

一般の日本人の住居感は床は畳か板の間であるというのが普通ではないでしょうか?蓄熱層にするために床にテラコッタなどの硬い材料を使用することはにはかなり抵抗があるようです。興味を持った方も床の説明をするとあきらめるケースがほとんどでした。アイデアを暖め始めてから実現するまでには10年以上かかっています。

最初に手掛けた住宅の敷地は八ヶ岳の麓、標高が高く風も冷たく、朝夕はかなり冷え込むところです。担当の工務店の方も「コンクリートで蓄熱?本当かな。」と思っていたそうです。
12月の初め頃になり、玄関などの建具はまだなく、暖房も入っていない状態なのに「何だかこの家は暖かいぞ」と気づき納得したそうです。

それでも引渡し後、心配なので様子を見に行きました。
12月中旬、家の中では光が入るようにカーテンを開け放し、熱が逃げないように窓を閉め切っていました。
「様子はどうですか?」とおそるおそる訊ねたところ、
「網野さん........。暑い!」との返事が返ってきました。温室状態だった訳です。
その後は家の使い方も慣れ、カーテンを閉めたり窓を開けるなど直感的で単純な動作で環境を調節しながら、快適に住まわれています。

現代文明が石油文明といわれているように、私たちの生活は好むと好まざるとにかかわらず、エネルギー=石油資源を消費することに組み込まれています。
しかし、このような状態がいつまでも続けられるわけがありません。時代はすでに、このような文明のあり方自体を見直すところにきています。

全体から見れば取るに足らないささやかな努力ですが、パッシブデザインによるエネルギー利用の方法や民家再生などはこうした問題に対する有効なひとつの回答ではないでしょうか。