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民家の再生:胡桃の木のある家

建築の再生の面白さは様々な時間が一つの空間のなかに重なり合って存在するところにあります。再生した建築では視覚と空間によって時間を感じることができます。 山梨県の甲府盆地東南部の建物を譲り受け、甲府盆地の南西の山のふもとに移築再生しました。
計画にあたり、元の建物の部材それぞれを新たに造る建築のための素材と考え、調査・解体を通してその素材の活かし方を探りました。 元の建物は新しい敷地に対して規模が大きいため、大黒柱を中心とする骨組みを主要な構造部の架構とし、残りの構造部材である柱や梁の他、床の間の框や落とし掛けなどの造作材、建具、ガラスなどを様々な場所に転用しました。 これまでとは違った試みとして、建具に使われていた昭和初期のレトロな雰囲気のガラスを建築主のアイデアで板戸の欠損部分の修理に使用しました。 また移築先の敷地にあった古い建物にも板材・タイル・石など様々な時代の素材が使われており、それらも併せて素材として使用しています。
経年変化の風合いは新しい素材では再現できませんし、またその必要もないでしょう。新旧素材の混ざり合うことによってのみ出来上がる空間もまた再生建築の魅力の一つであると言えます。

南西外観
上:南西外観。元の建物は標準的な民家と同じ南入り玄関でしたが、ここでは敷地と道路の条件から西側に玄関を設けました。玄関ポーチの梁・垂木には元の建物の突き上げ屋根に使われていた部材を転用しています。


南西側外観 西外観
上左:南西外観。ウッドデッキのあたりは元の建物の広縁だったところ。広縁は比較的新しい部材でできていたので、残った部材を再生した建物の様々な箇所に使用しています。
上右:西側外観。元の建物では西面に土蔵があり玄関のあたりで土蔵と接していました。


東南外観
上:東南外観。1階の多くの部分は主に椅子式の生活が行われますが、東南の角には和室を残しています。敷地の東南は花や野菜の庭として整備する予定ですので、和室から直接庭に出るための濡れ縁を設けています。


玄関ポーチ南 玄関ポーチ北
上左:玄関ポーチ南。切妻形の民家の一階外壁妻面は雨がかかりやすいので、開口部の上には庇を設けています。これにより雨の日でも窓を開け涼しい風を室内に取り入れることができるという利点が生まれます。エアコンの使用を抑えることができます。
上右:玄関ポーチ北。 再生した建物の西側には離れ、納屋や土蔵があり、敷地の南北にそれぞれ道路があります。南北西の3方向から容易にアプローチできる位置に玄関があります。雨の日の出入りのために玄関ポーチの屋根は大きく取っています。玄関ポーチの梁と垂木は提供民家の2階の屋根材を再利用しています。


玄関入り口 玄関下駄箱
上左:玄関入り口。下駄箱の扉と玄関ホールの建具は提供民家に使われていたもの。入り口の式台は工務店でストックしておいた杉材。
上右:玄関下足入れ 土間は左官の洗い出し仕上げ。土間から一段上がった板張りの床の框も提供民家に使われていた欅材を転用しています。


大黒柱見上げ
上:大黒柱見上げ。2階は広いので床板を撤去し吹き抜けとし、開放感のある空間としています。


居間全景
上:居間全景。工事中の居間と食堂の様子。カーテン・家具・ストーブはまだ入っていません。床に陽が当たりすぎるのでしばらく養生が必要でした。


居間全景
上:居間全景。工事中の居間と食堂。床には桧材を張りました。柿渋を塗って仕上げる前の様子です。


居間・食堂・台所
上: 居間・食堂・台所。 階段と床板は素木に柿渋を塗りました。若干赤みがさしていますが、まだまだ色が出ていません。時間が経過し少しずつ色が濃くなってゆきますが、もう少し濃くしたいので追加で柿渋を塗る予定です。自然素材の面白いところです。


和室東面
上:和室東面。提供民家の8畳間の空間に床の間と仏壇置き場を設け、6畳間の寝室にしました。正面の障子は庭を眺めるため、右手の掃き出し障子は濡れ縁を介して庭に出るために設けています。


和室床の間
上:和室の床の間。提供民家に使われていた床の間の板が奥行60センチだったため、手前に杉の厚板を敷き込み、踏み込み床を組み合わせた床の間としました。 左手の地袋の建具も提供民家で使われていました。床の間の周りの素木は杉材を使い柿渋塗で仕上げています。床の間の壁は珪藻土を塗りました。


書斎西面 書斎東面
上左:書斎西面。 小屋裏に光と風を取り入れるために、この部屋は屋根の勾配を変えています。正面の白い三角形の部分が屋根の勾配の変わるところです。
上右:書斎東面。小さい窓の向こう側が寝室。 東西に風が抜けるように、寝室と書斎の間に小窓を設けました。現場での変更ですが、提供民家にあった木製の窓を縦横変えて再使用しています。


書斎東面
上:書斎東面。右手の板戸は部屋間の間仕切りなどに使われていた帯戸と呼ばれる建具です。古い建具は数は充分残っていても長い間に傷みも進んでいます。 板の湾曲した個所や、割れている箇所を切り取り、代わりに古い建具に使われていたレトロなガラスを入れることにしました。


寝室
上:寝室。突き上げ屋根の下で寝室と書斎を繋ぐ通路。


寝室の通風採光用のトップライト
上:寝室の通風・採光用のトップライト。窓からは北側にあるクルミの木が見えます。右手の窓からも庭の緑を眺めることができます。


寝室南面の窓 階段室
上左:寝室南面の窓。小屋裏利用の小さな寝室ですが、東西南北に窓を設け、小屋裏特有の閉塞感(魅力の一つでもあるのですが)を解消し、光と風が入る快適な空間となりました。
上右:階段室。古民家の再生の課題の一つである階段。既存の架構をなるべく傷めず使い勝手の良い位置に計画しました。


バックカウンター 引き出し
上左:バックカウンター。キッチンのパーティーシンクを埋め込んだバックカウンターと棚板。カウンター下の棚板は206材を使用。建築敷地の隣地に長いことブルーシートをかけて保管してあったもの。収容物に合わせて高さを調整するために取り外しは容易にできるようになっています。
上右:引き出し。提供民家に使われていた作り付け収納の引き出しを再使用しました。


バックカウンターの収納扉 洗面脱衣室2
上左:バックカウンターの収納扉。提供民家の板戸の鏡板と金物を新たに作製した框(建具の枠)に組み込みました。
上右:洗面脱衣室。コンセントプレート・スイッチプレートは陶製の支給品。右手の建具は板戸を加工して再利用。大きな洗面器は病院用の流しを使用。鏡は引き戸になっていて、横にスライドすると収納棚が出てきます。


勝手口 手洗い器
上左:勝手口。提供民家に使われていた窓を再利用した収納棚。
上右:手洗い器 支給品の手洗い器をカウンターに落とし込み制作。左手の建具は食器棚に使われていた扉を改造したもの。


納戸 薪ストーブ
上左:納戸。様々な大きさのものが収納できるように高さを変えられる棚板を設けました。板を支持する金物は既製品なので後から追加することで収納量を増やすこともできます。東面に通風用の窓を設けました。
上右:ストーブ。敷地の周りには樹木が多く薪の調達が期待できるため、主な暖房のために薪ストーブを設置しました。


沓石 勝手口土間床
上左:沓石。一般的にはコンクリートや切り石が使われていますが、構造的に負担の少ないことや再生民家であることから、沓石には自然の形の石を使いました。
上右:勝手口土間床の仕上げ。こちらもストックしておいたタイルを使って建築主がデザインしたものです。




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