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新築住宅事例・小龍庵

住宅新築・リフォーム:
「我が家流の
  住まいを創る」


「家づくりは一生に一度、だからここにしかない家が欲しい」「住宅を私好みにカスタマイズしたい」なら、住まいについて自由にイメージを膨らませることから始めましょう。
素材感と手仕事の味わいを大切にした「オンリーワン」の住まい創りをお手伝いします。
 又、具体例として私達の設計監理事例を挙げましたので、合わせてご参照ください。




♦目次♦
  1. はじめに:世界の中心はどこか?

  2. 世界の中心に家を建てる

  3. 敷地を読んで家を考える

  4. ここにしかない家

  5. 住まいは自分らしさの集積

  6. リフォームは楽しいカスタマイズ

《1.はじめに:世界の中心はどこか?》

いきなりですが、私達は想像を絶するほど広大な宇宙の中の銀河系の中の太陽系の地球という惑星の上で生きている、ちっぽけな人間という生物です。
私達はこの広大な世界の片隅で生まれ、ささやかな人生を生きる儚い存在です・・・・いや、ちょっと待ってください、それは本当でしょうか?

「この世界の片隅」と言うけれど、それなら「この世界の中心」はどこにあるのでしょう?
 大都会?チョモランマのてっぺん?どこかの聖地?それとも近所のコンビニ?
「中心」と言うからには世界に1つしかない筈ですが、中心と呼ばれる場所はたくさん在ります。

どうしてそんな、デタラメなことになっているのか?
疑問の発端は宇宙から始まったので、ここはアインシュタイン博士に訊いてみようかと思いましたが、時差で連絡がつかなかったので自分で考えてみました。
結論は「中心という概念に相対して中心は存在する」という相対性中心理論(学会未発表)、要するに「ここが中心と考える主体にとってはそこが中心になる」ということです。

例えば「世界経済の中心」というようなことを言いますが、具体的にどこかの超大国の大企業の偉い人の座る座布団の上、などという場所が特定出来るわけではありません。「世界経済の中心はどこ?」と訊いてみれば、おそらくあちこちから「私のところだ!」という名乗りが挙がるでしょう。

つまり、そもそも「この世界に唯一の中心というものは無い」ということです。
「唯一の中心は無い」ということは、「片隅も無い」ということになります。
更に「ここが中心と考える主体にとってはそこが中心になる」のなら、自分にとっては自分の居るところが世界の中心になるのです。
 さぁ、今日から「世界の片隅」ではなく、堂々と中心で生きてみましょう(同じ場所だけどね)。

住宅新築事例・大泉の家 住宅新築事例・大泉の家(眺望)
上:【住宅新築事例・大泉の家(ウッドデッキからの眺望)】
南面のウッドデッキに出ると目前に田畑が広がります。東側遠方には綿々と続く山並みが、西側には迫力ある甲斐駒ケ岳が迫るという山好きにはたまらないロケーションです。

新築住宅事例・小龍庵
上:【新築住宅事例・小龍庵】
都会の喧騒が好きな人も居れば、山間に開けた田舎町が好きな人も居ます。
この家の主は森の木々を愛し、日々、樹木に囲まれて森を眺め、心静かに暮らすことを選びました。


《2.世界の中心に家を建てる》

さて、前振りはともかくとして、「世界の中心に家を建てる」という話です。
これは「自分にとっては自分の居るところが世界の中心になる。だから自分の家は世界の中心なのだ」というこじつけですが、それだけでは終わりません。
 より重要な意味は「自分が家を建てる場所をポジティブに捉える」ということなのです。

家を建てる場所、それは地球の表層の地面です。
誰でも知っていることですが、家は土地が無ければ建てられません。
ツリーハウスは樹木の上に造りますが、樹木は土地に根を張りじっと移動せずに立っています。
船の上に建っている移動式の家は固定資産税の対象外なので、ここではスッパリ忘れることにします。
一般的に家は土地=敷地に建てるものなので、家を建てるということは、先ず敷地を選ぶことから始まります。

とはいえ、敷地を選ぶにはさまざまな事情が絡んで来るので、一概に選択の良し悪しを言うわけには行きません。そうではなくて、ここでは「縁あって選んだ敷地をポジティブに捉える」というスタンスで考えて行きます。

では具体的に、「敷地をポジティブに捉える」にはどうしたら良いでしょうか?
    次に箇条書きに挙げてみました。

  1. 敷地の中に立ち、方位・形状・広さ・勾配・隣地との関係を体で意識しながら歩いてみる

  2. 敷地の中に立ち、風の吹いて来る方角・陽の当たる場所・陰になる場所などをそれぞれ時間を変えて(出来れば季節を跨いで)観察する

  3. 敷地の中から周囲の景色を眺める(立ったり座ったり脚立に上ったりして目の高さを変えてみる)

  4. 道路に出て敷地の外から敷地全体を眺める(但し車に注意すること)

  5. ドローン(もしあれば)やグーグル・アースで空から眺めてみる

  6. 敷地を含めた地域の気候・風土を知る

  7. 敷地を含めた地域の歴史(人間社会だけでなく地層の歴史も)を知る

ポジティブに捉えることの第一歩は好奇心(興味)を持つことです。好奇心を持ってその敷地についての知識を得、体で感じることが大切です。
出来ればノートを1冊用意して、気付いたことや調べたことを何でもメモしておきましょう。
パソコンやスマフォを利用して綺麗に整理する手もありますが、たまにはアナログも良いものです。
ノートもバインダー形式なら後から整理しやすいものです。

このように「その敷地について知る」ことを通して、自分が選んだ敷地の魅力を見つけます
これがポジティブに捉えることの次の一歩です。
そして最終目標は、その敷地の魅力を活かした家を建て、自分が選んだ「世界の中心」で笑って暮らすことなのです。

新築住宅事例・くーらばーら外観
上:【新築住宅事例・くーらばーら外観】
敷地は前面の道路から少し上った小高い緩やかな斜面です。過度な造成は行わず、屋内は傾斜を活かしたステップフロアーで居室を連続させました。左端に道路から上るアプローチが見えます。

新築住宅事例・くーらばーら内観
上:【新築住宅事例・くーらばーら内観】
敷地の傾斜に合わせ、奥へ行くほど床が高くなっています。手前左のキッチンから、ステップフロアー突き当りの寝室までが一望できる開放的なプランです。収納庫やユーティリティは左側の壁の裏にまとめました。来客用のソファベッドから開口部上のミニ書棚まで、家具は全てオリジナル制作しました。


《3.敷地を読んで家を考える》

「よーし、敷地は手に入れた。早速、家を建てよう!先ずはキッチンと居間と寝室と子供部屋、それからトイレと風呂と洗濯機置き場に収納はたっぷり要るし、ウォーキングクローゼットも欲しいな・・・おっと、玄関が無けりゃ家に入れない!」
 いえ、ちょっと待ってください。建物や部屋の形や大きさを考える前に、前項で「その敷地について知る」ことが出来たのだから、それを活かすことから考えましょう。

先ず敷地の図面を大きめにコピーして、敷地についての情報(前項の1〜3で調べた方位や日差しの方向、眺望や隣地・隣家の様子など)を描き込みます。
次に敷地への入り口を決めます。隣地や道路との関係から敷地へのアプローチは自ずと絞られて来るので、これはそう悩まずに決められると思います。もし駐車場が必要ならば、入り口から無理なく車の出し入れが行えるだけのスペースを(停めたい車の台数分)確保しておきます。ヘリポートが必要な場合は、それ相応のスペースを確保します。
ここまで出来たら、残った場所に建物の平面を描く・・・のではなくて、「何をする場所か?」という目的ごとに敷地の大まかな区分けをして行きます。これを「ゾーニング」と呼びます。

下図の例では、細長い敷地の前面に余裕を持たせてスペースを確保し、もっとも日当たりの良い所に、猫と一緒にゴロゴロするサンルームと居住空間を配置しました。
又、建物の裏手にも夏の朝日が良く当たるので、ここでは家庭菜園が楽しめそうです。

敷地を読むゾーニング・スケッチ例

では、家庭菜園への主なアプローチは建物の左側にするべきか、右側にするべきでしょうか?
右側は現在は何も建っていないけれど隣家の建設予定地で、しかもこちらの敷地より高くなっています。対して左側にはこちらの敷地より低い桃畑が広がっている、となれば家庭菜園へ行くには左の桃畑側の方が圧迫感が無くて良さそうですね。

左側は桃畑越しの眺望も美しいので、建物の入り口にしてみます(出入り口は必ず立ち止まる所なので植物を近景に取り入れて季節感を楽しみます)。入り口の中は広めの土間(三和土、又はレンガやタイル敷きなどの土足で入れる空間)にして、裏口から家庭菜園へ通り抜け出来るのも便利そうです。
 収穫したての土の付いた野菜も、土間が在れば気楽に運び込めます。

居住空間はサンルームと土間という2つのゾーンへ開放的に繋がるイメージで、土間の上の吹き抜けを介して桃畑越しの眺めを楽しめると良いかもしれません。2階には家庭菜園と川越しの眺望を眺める大き目の窓も欲しいところ・・・というように、建物や部屋を形や大きさで考えるのではなく、敷地の情報を踏まえたゾーニング計画として考えて行きます。

「窓から何が見えるか?風はどの方角から吹いてくるか?」は特に重要なポイントですが、敷地について知らなければ家創りに取り入れることは出来ません。
万が一「八方ふさがりの眺望」だったら?・・・いえ、そんな時は八方ふさがりだからこそ周囲を良く観察し、ピンポイントで風景を切り取るなどして「眺めの魅力」を創りましょう。

 いずれにしても、敷地の魅力を活かすことを大前提として、家をイメージすることが大切です。

住宅新築事例・みちばたハウス
上:【住宅新築事例・みちばたハウス】
この住宅ではアトリエと居住スペースが、中央の玄関ホールを挟んで左右にゾーン分けされています。又、2階に設けたバスルームの窓からは、森の風景を眺めながらの開放感ある入浴が楽しめます。

住宅新築事例・みちばたハウス 住宅新築事例・みちばたハウス
【住宅新築事例・みちばたハウス】
上左:吹き抜けから2階居室の奥まで続く大きな壁には民家の天井板を再利用し、インパクトある渋めの雰囲気を創りました。壁の中の白い長方形の部分は絵を掛けるためのスペースです。
上右:土間的玄関ホールから居間への見通し。床を同素材のタイル張りとし、空間の連続感を出しています。右手の下足入れは飾り棚を兼ねるため、ピンスポットで照らします。

住宅新築事例・窯場のある家
上:【住宅新築事例・窯場のある家】
建物の裏手に窯場があります。左側の工房は正面からも屋内からも入ることが出来、裏手の窯場へも抜けられるマルチな空間です。右手ウッドデッキの向こうには家庭菜園が在ります。

住宅新築事例・窯場のある家 住宅新築事例・窯場のある家
【住宅新築事例・窯場のある家】
上左:吹き抜けに面した2階のコーナー。書斎として作られましたが、昼寝スペースにしたり、飾り棚を置いて演出したり、と用途を変えることも可能。「余白」のようなスペースが「余裕」を生みます。
上右:キッチンスペースは家の中心に在り、他の部屋の気配がわかるように工夫されています。

住宅新築事例・風知庵
上:【住宅新築事例・風知庵】
敷地は小高い丘で、背後は雑木林の傾斜地になっています。家は庭を囲む形のカーブを描く立面です。

住宅新築事例・風知庵 住宅新築事例・風知庵
【住宅新築事例・風知庵】
上左:家の裏手の雑木林が美しいため、玄関突き当りのコーナーからも眺めを楽しみます。
上右:2階からの眺めです。内部は周囲の自然と対比させた鉄の手摺などで引き締めています。

住宅新築事例・風知庵
上:【住宅新築事例・風知庵】
キッチンカウンター・収納・飾り棚などのインテリアも、建築主との詳細な打合せを経て統一感のあるデザインでオリジナル制作しています。左の階段下のコーナーにワークスペースを設けました。


《4.ここにしかない家》

ゾーニング計画で家を考えることにはどんなメリットがあるでしょうか?
第一には、前項で試みたように敷地の魅力を活かすことから家を考えて行ける、という点があります。既に出来上がっている形を敷地へ当てはめるのではなく、敷地に合わせて家の形を考える。
もし手に入った敷地がとても細長かったら、細長い敷地の形状を活かした家を考えます。

同様に、部屋を考える際もゾーニングは役立ちます。部屋の大きさ・部屋と部屋のつながり(位置関係)も、敷地図の上で試みたのと同じように「何をする場所か?」という目的ごとの大まかな区分けから考えて行きます。そうすることで、間取りについての先入観を廃し、既存の居室イメージにとらわれない内部空間を創ることが可能になります。

とはいえ現実的には、建物は構造・素材・性能・法規や電気・給排水設備などさまざまな要件を満たすことが必要です。
又、極端に過激でアクロバティックな内部空間というのも「住み心地」に疑問符が湧きそうです。
「ここにしかない家」「オンリーワンの家」=「奇抜な家」というわけでもありません。
そうではなくて、既存の居室イメージにとらわれないで考えたいのは、自分(と家族又は同居人)にとっての「ここにしかない家」「オンリーワンの家」なのです。

では、どうしたら、そんな家を創ることが出来るのか?
 実は、ゾーニングから考えることがヒントになります。
ゾーニングでは「敷地に合わせて家の形を考え」「用途に応じて部屋の大きさ・配置を考え」ます。

ここで今さらながらの確認ですが、自分が選んだ敷地は「この世界で唯一の場所」であることを認識していますか?
《1》で「この世界に唯一の中心というものは無い」と述べました。
「唯一の中心」はありませんが、「同じ場所」も無いので、たとえかなり似たような場所があるとしても、それは「違う場所」です(全く同じ世界が他にも在るという多宇宙論のことは忘れてください)。
したがって、自分が選んだ敷地は「この世界で唯一の敷地」なのです。

そしてもう一つ、自分も「この世界に唯一の自分という人間」であり、自分の家族(同居人)も同様に「この世界で唯一の自分の家族(同居人)」だということです。
その唯一の自分(と家族・同居人)が「こんな部屋でこんな風に暮らしたい」とイメージし、それを唯一の敷地に合わせた家で形にしようとしたら・・・どうです?隣の家とそっくりになりますか?
 もし、そっくりだったら、隣に住んでいるのは自分かもしれません。

 いえ、屁理屈や冗談で煙に巻いているのではありません。

この世界に全く同じ人は居ないように、家も敷地の形状や住む人の暮らし方に応じてそれぞれ異なるものなのだということです。地域によって「似たような家」が多いのは、昔はどの家も近場の素材を用いて同じ地域の人の手(伝承された技術)で建てたからです。
しかし「似たような家」でも、良く観ると微妙に異なり、住む人による個性が表れているものです。
海外の観光名所になるような地域は条例などで建物の素材や色が決められていたりもしますが、それでも当局の隙を見て「自分の家らしさ」を出そうとしています。いや、意識して出しているとも限りません。「無くて七癖」と言うように、個性は勝手ににじみ出てしまうからです。

ゾーニングの話に戻りましょう。
ゾーニングでは「丁寧に敷地を読み、敷地の情報に合わせて家の形を考え」「そこでの暮らしをイメージし、用途に応じて部屋の大きさ・配置を考え」ます。
既存の形を当てはめるのではないため、「この世界に唯一の敷地に住む、唯一の自分(と家族・同居人)」のオリジナリティを「家」という空間に反映させることが出来るのです。
 つまり「個性がにじみ出る」以上の「自分の家らしさ」を創ることが可能ということです。

「でも何だか難しそう」・・・いいえ、ご心配なく。共に敷地の魅力を探り、暮しのイメージを整理して現実的なプランニング案にするところから、私達・建築設計のプロがお手伝いいたします。

住宅新築事例・小龍庵
上:【住宅新築事例・小龍庵】
敷地は南北に長く、西側の道路から東の森への緩やかな傾斜地でした。住まいの建設に先立って小さな山小屋を建てた建築主は、小屋を拠点に敷地を定点観察し、建設に際して切り倒さねばならない樹木を家の部材に組み込むことを希望。着工の約1年前に伐採・製材された松・コナラ・リョウブなどは、面影を残した野性味ある梁・柱・階段板などとして建物の随所に効果的に活かされました。

住宅新築事例・小龍庵 住宅新築事例・小龍庵
【住宅新築事例・小龍庵】
上左:南面外観。2階の小さなバルコニーは布団干しですが、表に出てみると不思議な浮遊感があり、地上よりも森の緑に吸い込まれる感覚を強く持てます。右奥に見えるのが最初に建てられた小屋。
上右:東面外観。板張りの建物は眺望と採光のため等高線に沿って平面プランを折り曲げ、木立を縫うように角度を振った構成(この敷地ならではの形)で、周囲の景観にしっくり調和しています。
「眺めの邪魔になる」のでウッドデッキに手摺はありません。

住宅新築事例・小龍庵 住宅新築事例・小龍庵
【住宅新築事例・小龍庵】
上左:玄関。黒い板張りの外壁に対して白い漆喰塗りの壁が目を引くアクセントとなり、来訪者に導入部を示しています。ポーチの柱はこの敷地から伐採したリョウブの木の上部です。
上右:キッチン。大黒柱はこの敷地から伐採した松、梁には古材も組み込みました。キッチンの扉は欅の古建具を再利用しています。カウンター下部や壁の収納(内部は食器サイズに合わせた棚になっています)は建築主夫人との詳細な打合せを経てのオリジナル・フルオーダーです。

住宅新築事例・小龍庵 住宅新築事例・小龍庵
上:【住宅新築事例・小龍庵】
この住宅では敷地の樹木を部材に用いただけでなく、建築主のコレクションを扉や壁に組み込むことも行いました。上写真は古い建具にステンドグラスで更に手を加え、新しい扉に組み込んだ箇所です。


《5.住まいは自分らしさの集積》

さて前項では、ゾーニングによって「丁寧に敷地を読み、敷地の情報に合わせて家の形を考え」「そこでの暮らしをイメージし、用途に応じて部屋の大きさ・配置を考え」るから、「この世界に唯一の敷地に住む、唯一の自分(と家族・同居人)」のオリジナリティを「家」という空間に反映させることが出来る、と述べました。
まぁ要するに、そもそも自分はこの世界にただ一度きりのオリジナルな存在なんだから、自分が描く住まいのイメージを自由に率直に形にしようとすれば、自ずとオリジナルな家になる、ということです。

「だけどさ、自由に率直にと言われても、何をどう考えたらいいのかわからんよ」・・・
ハイ、ごもっともです。そのために敷地の情報があるのです。しつこく敷地の話を述べるのはそのためです。敷地は家について考えるための「良い意味での制約(条件)」の1つです(他の制約には「資金」や「時間」などがありますね)。
もう一度10行前を読んでください。「丁寧に敷地を読み、敷地の情報に合わせて家の形を考え」「そこでの暮らしをイメージし」なので、先ず敷地を読み、それを足掛かりにして家のイメージを創れば良いのです(具体的・現実的で面倒な作業は私達・設計事務所が行いますから大丈夫です)。

「でも・・・」
 え?まだ何か問題が?
「敷地を読もうにも、ウチの敷地、真四角で真っ平らな住宅分譲地だし、周りは家ばかりだし・・・」

あー、大丈夫です、敷地は「良い意味での制約(条件)」なので、不利だと思えることも乗り越えるべき「楽しい課題」と捉えましょう。「縁あって選んだ敷地をポジティブに捉える」というスタンスを忘れないでください。どうしても外の眺めが今一つ、の場合は家の内部を充実させましょう。

しかし「家の内部の充実」と言ってもいろいろあります。
「最新の設備機器で充実させたい」という人もあれば「何でも入る底なし収納で充実させたい」という人も居るかもしれません。もちろん、何を重視するかは当人次第です。

 ただ一つ言えることは、「住まいは自分らしさの集積である」ということ。

あ、慌てて部屋の中を見回しましたね?
そうです、自分の部屋、自分の家は何を隠そう自分らしさが積もり積もって出来ているのです。なぜなら、家の中にある物の1つとして、勝手に転がり込んで来たのでも空から降って来たわけでもないからです。「オリジナリティとはカッコイイもの」と思われがちですが、そうとばかりは限らないのです。

「いやー、だけど、それじゃ嫌だな、困るよ、なんとかしてよ」
いえ、なんとか出来るのは自分だけです。私達設計者に出来るのは、与えられた条件の中でカッコイイ回答を捻り出すことだけです。ただ面白いことに、と言っては語弊がありますが、カッコイイ家に住むとカッコイイ人になるというケースもあります。

少なくとも竣工時はスッキリ片付いていますから、それを出来るだけ維持することが出来ればスッキリした暮しは実現できます。カッコイイ家でスッキリした暮しをする内に、住人もスッキリ・カッコイイ人になるわけで・・・そうならない場合もありますが、ここは一つ、前向きに生きましょう。

住宅新築事例・MOKU
上:【住宅新築事例・MOKU】
住宅分譲地も「ここにしかない敷地」です。とはいえ密集地ではどうしても近隣が気になります。
この事例では上手く視線を遮りながら、充分な採光と開放感を味わえるように配慮しました。

住宅新築事例・MOKU 住宅新築事例・MOKU
【住宅新築事例・MOKU】
上左:内部は吹き抜けのある開放的なプラン。壁の一部では建築主のクライミングの練習も出来ます。
上右:シャープな手摺と現代版箱階段とも言える書棚です。建築主との詳細な打合せを元に考案したオリジナルデザインを随所に用いることで、その人らしい家が出来上がって行きます。

住宅新築事例・赤壁の家 住宅新築事例・赤壁の家
【住宅新築事例・赤壁の家】
上左:居間の中央に、彫刻のように象徴的な古材の梁を意匠的として組み込み、バナキュラーで創造的な雰囲気の空間を創りました。柱は栗材を甲州名物・縄文大工がチョウナ斫りで仕上げたものです。
上右:吹き抜けに面した板張り壁を深い赤に塗装しました。壁の色や建具は内観の印象を大きく左右します。自分らしい家の雰囲気創りに積極的に考えたいポイントです。

住宅新築事例・下神内川の家 住宅新築事例・下神内川の家
【住宅新築事例・下神内川の家】
上左:住宅地に建つシンプルな小規模住宅の例です。コンパクトであっても、庭の眺めを雪見障子で部分的に切り取って楽しめる茶室を設け、襖紙にも凝るなど随所に遊び心を取り入れています。
上右:敷地には石がたくさん在りました。その石の利用方法を考え、このような庭を創りました。

住宅新築事例・中浦和の家 住宅新築事例・中浦和の家
上:【住宅新築事例・中浦和の家】
縁あって譲り受けた古い建物を解体することになり、自宅の新築時に建具などの意匠的な素材を組み込んだ事例です。新築であっても年代を感じさせるクラシカルな雰囲気作りに役立っています。

住宅新築事例・国立の家 住宅新築事例・国立の家
【住宅新築事例・国立の家】
上左:ゲストハウスの例です。古材による船底天井と和紙張りを用い、遊び心ある内観を創りました。
上右:玄関。ここでも仕口跡の残る古材と和紙の調和が、シックで美しい大人の空間を創っています。


《6.リフォームは楽しいカスタマイズ》

「外の眺めが今一つ、の場合は家の内部を充実させる」というのは新築だけでなくリフォームの場合も同様です。ある意味、リフォームは敷地に次いで「既存の建物」が「良い意味での制約(条件)」になるので家について考え易いとも言えます。既に元の建物が在るので予算に応じて必要な箇所だけ工事すれば良いし、そこでの暮らしを通じて改善したい箇所も明確になっていることでしょう。
 そう、リフォームの最大のメリットは問題のある所を改善するので必ず良くなる、という点です。

私達の設計事務所では、リフォームは断熱性能の向上(必要であれば耐震性能の向上も)・老朽箇所の修繕・使い勝手の改善は当然のこととして、さらに魅力的な住空間となることを目差しています。
つまり、リフォーム工事の機会を活かして、住まいをカスタマイズすることを提案しているのです。

通常、リフォームといえば問題のある箇所の手直しとなるので、とりあえず問題の無い箇所(未だ使えるもの)はそのままになります。
もちろん、未だ十分使える有益なものをやたらと処分するべきではありません。が、ある部分が「未だ使える」としても、そこに手を入れれば家が劇的に生まれ変わるとしたら、どうでしょう?

例えば下に示した住宅では家の中央の廊下から狭い直階段が2階へ伸びて部屋を分断していました。
そのため各部屋は全体に狭苦しく、なんとも使いにくい状態になっていました。
リフォーム設計では家の構造を調べて階段を建物の端へと移動、そこから向きを変えて2階へ上るようにしました。それに合わせて各部屋を直して断熱性能を上げ、壁の仕上げ・腰板張り・建具などの内装も充実させました。改装前の写真をお見せ出来ないのが残念ですが、全く別の空間になりました。

一般の人が「本当はこんな風に家を使いたい。けれど、今の家の間取りでは不可能だ」と思いがちなのは、現在の住宅は構造が見えない場合が多いからです。構造を調べることが出来さえすれば、実はかなりなカスタマイズが可能なのが木造の楽しいところです。
 しかも使い勝手が良くなると家の印象はグッと良くなります。

使い勝手を見直して時には大胆なリフォームを施し、自分好みの内装やインテリアで雰囲気創りをして「ここにしかない家」と共に楽しい日々を送りましょう!

住宅リフォーム事例・八王子の家
上:【住宅リフォーム事例・八王子の家】
築40年の住宅を既存の骨格を残したままで、階段の位置を大きく変えるなどドラスティックなプランの変更を行った事例です。居間は天井の四角い部分以外のほぼ全てが更新されています。白壁と腰板のコントラストがシックな大人の空間を創っています。カウンターの向こうがキッチン、左奥が書斎です。

住宅リフォーム事例・八王子の家 住宅リフォーム事例・八王子の家
【住宅リフォーム事例・八王子の家】
上左:書斎。建具はステンドグラス用のガラスを5種類組み合わせ、帯にガラスを象嵌したオリジナル製作品です。居間・書斎の照明も部屋に合わせて制作しました。
上右:2階仕事部屋から観た和室。モノトーンの内装の中で、引き戸の赤がアクセントになっています。右手の窓は階段室の換気用に設けました。

住宅リフォーム事例・八王子の家
上:【住宅リフォーム事例・八王子の家】
2階仕事部屋。階段の位置を変えたことで、広く使い易くなったと好評でした。執筆という仕事に集中出来るよう、窓は小さ目で天井高も抑え、とても落ち着く雰囲気です。

住宅リフォーム事例・国分寺の家
上:【住宅リフォーム事例・国分寺の家】
改装にあたり居間の一部に小さな書斎を創りました。書棚と照明、パソコン用の電源を設置します。

住宅リフォーム事例・国分寺の家
上:【住宅リフォーム事例・国分寺の家】
この書斎は不意の来客時には吊り建具を閉め、居間から見えなくすることが出来ます。
建築主のコレクションを組み込んで制作したオリジナル建具は美しいインテリアとなっています。

住宅リフォーム事例・国分寺の家 住宅リフォーム事例・国分寺の家
【住宅リフォーム事例・国分寺の家】
上左:2世帯住宅への改修のため、2階は若夫婦と子供達のスペースです。天井板を撤去し、既存の梁を見せて伸びやかな空間にしました。窓からは庭の眺めが一望できます。
上右:2階洗面脱衣室。シンクは既製品ですが、カウンターやタイルの配色などに住む人らしさが表れます。棚・収納・脱井カゴなどの細かな位置や寸法の指定もオーダーメイドならではの楽しみです。

住宅リフォーム事例・亀有の家 住宅リフォーム事例・亀有の家
【住宅リフォーム事例・亀有の家】
昭和38年に建てられた住宅の全面改修事例です。当時ありがちな新建材を多用した住宅で、老朽化が進んだ部分は基礎の沈み込み等も発生していました。建築主の希望は建直しでしたが、諸般の事情により建築確認を取れないため諦め、大規模修繕模様替えで対応しました。周囲に家が建てこんでいるので揚屋は出来ず、耐震補強は主に1階を固め、2階は外壁に構造用合板を用いて補強しています。
又、道路を除く三方に近接して建物があり1階は光を取り入れ難かったため、吹き抜けを介する2階からの採光を提案。採光の効果が上がるよう吹き抜けの周りを出来るだけスノコ状の床とし、階下に光が落ちるようにしました。
上左:改装後外観。外壁仕上げはガルバリュウム鋼板、内壁は珪藻土仕上げです。
上右:キッチン。窓の前にすぐ隣家が見えます。天井に採光のためのスノコ状の床が見えます。


住宅リフォーム事例・亀有の家 住宅リフォーム事例・亀有の家
【住宅リフォーム事例・亀有の家】
上左:既存外観。左右を近接する住宅に挟まれ前面道路も狭いため、工事車両が入らず、解体はほとんど人力で行いました。改装後写真と比較すると、開口部の位置は変えていないことがわかります。
上右:工事中の内観。既存の柱梁に補強材を継ぎ、壁を構造用合板で固めています。

住宅リフォーム事例・亀有の家 住宅リフォーム事例・亀有の家
【住宅リフォーム事例・亀有の家】
上左:居間。2階からの光が吹き抜けとスノコ状の床を介して届き、閉鎖的な外観とは打って変わった明るく開放的な空間を創ることが出来ました。中央の柱は撤去出来なかったため、新材で包みました。
上右:2階。スノコ状の通路の様子。白木と珪藻土の内装がスッキリ爽やかです。

住宅リフォーム事例・亀有の家
上:【住宅リフォーム事例・亀有の家】
2階。階下に光を届けるためのスノコ状通路と吹き抜けの様子。

住宅リフォーム事例・亀有の家
上:【住宅リフォーム事例・亀有の家】
吹き抜けから階下を観た様子。階段室の壁を三角形にくり抜いて抜け感を出しました。

住宅リフォーム事例・亀有の家
上:【住宅リフォーム事例・亀有の家】
吹き抜けを見上げると、スノコ状通路と手摺のスリットが思いがけない美しさを見せてくれます。




最新事例ご紹介:我が家流の住まい、出来ました】←民家再生最新事例ページもご参照ください。



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