Alcedo Atthis Architect

「山梨県庁舎別館」

 一級建築士事務所 アルケド アティス

お知らせ
12月13日:TOPページに巻頭コラムをUP。又、Newコンテンツに「BIMとは?−Building Information Modelingによる設計について」を追加、住宅事例に「国分寺の家」等5軒を更新しました。

 アルケドアティス巻頭コラム(弊社広報部編) 2018
ロンシャンの礼拝堂内観のドローイング(網野作) 《コンクリートの白い壁、実は中に石積み》
ル・コルビュジェ自身が執筆した『ル・コルビュジェ全作品集(訳:吉阪隆正)』を開くと、数あるコルビュジェ作品の中でもとりわけ印象的な『ロンシャンの礼拝堂』の建設工事写真を見ることが出来ます。私達の眼を惹いたのは無数の「石」がぎっしり積まれた外壁写真でした。そしてこの石積みには第二次世界大戦で「破壊された旧礼拝堂のもの」(即ち自然石のガレキ)を用いたという記述。
戦後間もなく、礼拝堂の再建設計を依頼されたコルビュジェが現地に赴くと、そこにはおそらく未だガレキの山が在った。コルビュジェの記述によれば「ロンシャンの丘は道路が無いので建材運搬の問題は絶対だった(中略)すべて比較的安い値段に留められるように検討された」・・・そこで費用を掛けて大量のガレキを片付けるより壁の中に積んでしまうことを思いついた(と、想像する)。
石積みは表面にコンクリートを吹付けた上に白く仕上げられて存在を隠しています。独自の手法に則り建築の造形的な効果を高めるためか、大胆な「資源の再使用」をちょっと秘密にしておきたかったのか、いずれにしても巨匠の遺産は、私達の建築観に楽しい揺さぶりをかけ続けてくれるのです。
宮光園・白蔵の床 《文化財のツギハギについて》
約30年前(アルケドアティス設立よりもう少し前の話)、網野(弊社代表)は縁あって近在の文化財の修復設計に関わり、その手法と魅力に出逢いました。弊社設立後も修復設計への関心は尽きず、現在に至るまで21件の文化財・歴史的建造物の修復(多くは耐震補強を含む)を手掛けています。
文化財の修復設計では歴史ある建築物の意匠・構造・工法だけでなくその建物を構成して来た素材そのものも文化財とみなされるため、修復のために加えられる新材は必要最小限に抑えなければなりません。年月と風雨に朽ちた部分は補わねばなりませんが、たとえツギハギになろうとも、元の素材の使える部分は極力使います。すると「今回はどこを直したのか?」という「修復の痕跡」が残り、建物に新たな歴史を刻むことになるのです。文化財には過去の「修復の痕跡」が残っていることもあり、建設当初の姿を推理して修復計画を立てるのに役立ちます。もちろん過去のツギハギも物的証拠なので可能な限りそのまま残します。そんなわけで文化財はだんだんツギハギになって行くのです。
  
→公共建築・文化財修復事例ページ参照
《古民家再生の現在》
文化財修復設計に縁のあったことから自然な成り行きで古民家再生にも関わり、現在までに約50件の再生設計を手掛けて来ました。当初は古民家の元の所在地と新たな建設地が変わる「移築再生」と所在地の変わらない「現地再生」の割合は「移築再生」の方が断然多かったのですが、割合は次第に逆転して来ました。景観の一部としての古民家を考えるなら、これは望ましい傾向と言えます。
又、「現地再生」の増加に伴い、建物の外観や構造を極力残した再生事例も多くなりました。
いずれにしても、「古民家の魅力を充分に活かしながら、居住性を向上させる再生を目指す」という私達の姿勢に変わりはありません。
  
→住宅事例ページ参照
「軸組みレンダリング図」 《建築に於けるツギハギ(ローテク)とBIM(ハイテク)の共演》
文化財の修復設計を手掛ける内に、私達は一般住宅の改築・改装にも「修復(改築)の痕跡」を残す手法を採用するようになりました。それが建物そのものの「履歴(記録)」になるだけでなく、住まい手にとっての記憶や愛着に繋がり、しかも美しいからです。柱・梁や床に残されたツギハギが美しいのは人の手の跡を感じるからで、新旧の素材を丁寧に継ぐことの出来るのは熟練した職人の成せるワザだからです。もちろん「ツギハギは困る」という場合はすっかり綺麗に直します。
「修復(改築)の痕跡」を残すのが難しい建物についても、BIM(Building Information Modelingという3次元CADソフト)を用いれば設計図書の中に履歴を残すことが出来ます。BIMには履歴以外にもさまざまな建築的な属性(素材や構造や部品ごとの詳細情報:耐久性能・耐震性能・省エネ性能・法への適合性・建設時の記録など)を格納して置けるので、新築時から用いれば将来的な改築やメンテナンスに備えられる・・・というわけで、ツギハギ愛着派にも役立ちます。
  
→「BIMとは?−Building Information Modelingによる設計について」参照

地域や個人の記憶を受け継ぎ、建物が建つ場の特性と環境を活かした「建築」を提案しています。
建築の規模・用途にかかわらず、どんなケースでも生み出された空間やディティールが日々何がしかの発見と喜びをもたらし、愛着を持たれることによって長い年月存続する、そんな「建築」を提案しています。